このあいだ、じょうえつのおまつりに行ったときにパパとママはいっぱいやさいをもらってきた。でも、あたしはやさいは好きじゃないから、しょうじきどうでもいいのよね。
パパとママは、もらってきたなかでもトマトがとくに気に入ったみたい。
「このトマト、八百屋さんで売られているのとは種類がちがうね」
「小さいけれど肉厚で固くて水分は少なくて、パスタや炒め物の具材に使われている種類だね」
そんなことを言っている。むずかしくてあたしにはわからない。
昨日の昼、あたしはパパからひとつもらった。前にもトマトはもらったけれど、あたしはぐじゅぐじゅしたものは好きじゃないのよね、ちょっと困ったわね。でも、とりあえずなめてみるわ。ぺろぺろ。
あら、前のとは、ちがうみたいね。
ふーん。
かじってみようかしら。がしがし。
あら。ぐちゃぐちゃしてなくて、あたしの好みかも。これ。
でも、はじめてだから、がつがつたべるのはちょっとゆうきがいるわ。ちょっとずつ、ちょっとずつね。食べてみる。
パパが 「いらない? 食べない?」と取り上げようとしたから、あたしはトマトをくわえてダッシュでにげた。ちょっとぉ、おとめはゆっくりとお食事するのよ。じゃましないで。
うん。このトマト、気に入ったわ。ぜんぶ食べたわよ。
またちょうだい。
え? あんまり売ってないの?
ちょっと、どうにかしてよ。
いただいたお家にもきいたんだけれど、「てきとうにかってきた苗だから、わからない」っていわれたたの。
アイコね、16歳かしら。
おぼえたわ。パパとママにつたえとく。
なつかしー