お耳のあたりがかゆいの。
かゆくてかゆくてぽりぽりかいていたら、「ノミでもひろってきたかなぁ」ってママがいうの。それだけじゃないわ。ママとパパは「あたしがくさい」っていうの。パパは「子犬はうんこたべちゃうからなぁ。だから臭いんじゃないのか」っていうのよ。しつれいね。
でも、パパもママもそれ以上はとくに気にしないでいたのねあたしのことを。あたしは耳のあたりがかゆくてかゆくてしかたないんだけれど、ちょっとどうにかしてよってうまく言えないの。
ていきけんしん。っていうので病院に連れて行ってもらったら「がいじえん」なんだって、あたし。おいしゃさんにママ叱られていた。お耳の中がうんでどろどろだって先生にいわれたわ。お薬をもらって、しばらくはお医者さんに通わなきゃいけなくなったの。
あのね。あたしたちミニチュアダックスフントの耳たぶは大きくて、しかも「だらん」てたれているの。「ぴん」と耳がたっているわんこさんたちと違って、耳の中に水が入ると、たれている耳たぶがフタになってしまってかわかなくて、だから「がいじえん」にかかりやすいんだって。ママもちゅういしていたらしいけれど、まさかこんなになりやすいとは思わなかったみたい。
おうちに帰って、夜、さっそくパパとママ、ふたりがかりであたしのお耳そうじをしてくれた。でもあたしお耳のそうじはきらいなの。お耳に薬をいれるのもきらいなの。
パパにおさえつけられて、ママがめんぼうでお耳のなかをくりくりそうじするの。あたしは痛くてあしがひくひくうごいちゃう。耳からめんぼうをとりだすと、ドロドロしたうみでまっくろになっているの。ママもパパもぴっくり。
「ごめんね。ごめんね。もっとはやく気がついてあげられなくてごめんね」って、ママったらなきべそじょうたいよ。
あたしがくさいのも、耳のなかが化のうしていたからみたい。とりあえずへんなごかいがとけてよかったわ。たしかにあたしはうんこをたべちゃうのだけれどさ。
はやくなおらないかしら。