みなさんこんにちは。くるみさんです。
ここ数年、年に一回こうしんすればじょうとうの、あたしのブログにきてくれてありがとう。
それでもなんだかんだで14年間も続けているのよ。けいぞくは力なりね。なんの力になっているのかわからないけど、とりあえずすごいでしょ? ほめてほしいわね。
さてと。
今は7月15日になったばかりの真夜中よ。
今年2月から今日まで、あたしに起きたことをふり返ってみるわ。まとめ更新てやつね。
ただし、どとうの長文になるから、かくごしてついてきてね。
えーと…、そうね。
それは2月も終わりのころだったわ。
あたしはいきなり食欲がなくなったの。体重も減っていてパパもママもびっくり。 だからすぐに、いつもお世話になっているお医者さんに行った。その日はたまたま、パパがお昼のお仕事がなくてラッキーだったのね。
すると、かんぞうに、しゅようというものが見つかった。
★★★★
その翌日もおなじ病院に、今度はママもいっしょに行った。若い女のお医者さんは沈んだ顔で、「しゅようはかなり大きくなっています。手術はむずかしいかもしれません」と言った。
ママはショックで涙目になりながらも、家に帰るといろいろ調べて、にいがた市内の、犬や猫のがんしんりょうを得意とするお医者さんを見つけた。電話して状況を説明して、あたしを連れて行った。三日連続でお医者さんなんて、あたしは初めての経験だわ。
それと、あたしはおトイレをときどき失敗するようになって、パンツをはくことになった。ごわごわして歩きにくいのがいやだけど、意外と早くなれたわ。いい子でしょ?
それからもいろいろなことがあったのだけど、結論を言うと、ママが探した病院で、手術をすることになった。
けれどあたしのしゅようはかなり大きくなっていて、しかも、貧血がとてもひどいので、手術の時間をとにかく短くしなければならないらしい。
なので安全に、短時間で手術するために、せいみつけんさをしなければならなくて、しょうかいじょうというものを書いてもらって、しせつが充実している、さらに違う病院に行った。CTとかなんだとか、とにかくいろいろ難しい機械に入った。
こうやってほぼ一週間、毎日のように病院に行き、輸血をして、いよいよ手術をした。
かんぞうを半分くらい取った。
すでに内出血していたらしいあとがあって、あちこちゆちゃくしていて、手術が大変だったよとお医者さんに言われたわ。
それと、かんぞうには他にも小さなしゅようがあって、それはとてもだいじな太い血管の近くにあるし、体力も心配なので今回は手術できませんと言われたの。小さいし、しばらくようすを見ましょうって。
とにかく、手術は成功して、四日間で退院した。
それが3月なかごろのできごとだった。
★★★★
退院のとき、「手術はうまくいきましたが、赤血球の数値が低いのが気になります。なにが原因かはまだわかりませんが、週に一回、全部で六回、注射を打ちます」と伝えられた。
やれやれ。まだお医者さんに通わなきゃいけないのね。まあ、あたしはお医者さん大好きなくるみさんだからいいのだけれど。
退院してからは、びっくりするくらいに食欲パワー全開になった。もりもり食べて、体重もちょっとずつ戻っていった。しばらくしてから抜糸をして、ひさしぶりにお風呂に入った。
「わがやの財布はやせたのに、おまえだけ太るのはなっとくできない」とパパにいやみを言われたわ。
でもね、週に一回行くお医者さんは、血液けんさの結果を見て「赤血球の数値が全然上がってこないな」としぶい顔。これ以上注射を続けると危ないらしくて、その代わり、くすりを飲み続けることになったの。
あたしは「おくすりは単なるのみもの」のわんこさんだからぜんぜん平気なんだけどもね。
春になって、お外はポカポカ暖かくなった。
あたしは14回めのお花見をした。
「あのとき手術をあきらめていたら、桜を見られなかったね」
ママは嬉しそうに言った。
5月のゴールデンウイーク。今年は世の中がウイルスで大さわぎで、わがやもどこにも旅行に行けなかった。でも、いつものようにママがあたしの大好きなミニトマトの苗を植えてくれた。
夏になればたくさんのミニトマトが赤くなって食べ放題になるわ。今から楽しみだわ。
★★★★
手術から二か月が過ぎた。
おくすりと血液けんさのために、毎週お医者さんに行くこと以外は、おだやかな日が続いた。
あたしは散歩ができるようになった。
みんなと長岡の公園にバラを見に行った。公園は日差しが強くてまぶしかった。
散歩のあとの冷たいお水が最高だった。
ごはんのときは以前のように、お部屋を必ず時計回りに二周走ったあと、お皿の前でおすわりして、パパとママのごはんの用意ができるまで、おぎょうぎよく待った。
テレビの前においてある、小さなイスに飛び乗ることさえ、できるようになった。
庭に去年植えたアジサイには、小さな花が咲きはじめていた。
あたしはだいぶ回復した。
回復したように、
見えていたの。
★★★★
6月になってがらりとじょうきょうが変わった。あたしは突然に、また食欲がなくなった。
大好きなものはちょっとだけ食べるけど、いつものカリカリごはんが食べられない。体重もまた一気に減っちゃった。
パパは会社に無理をお願いして、仕事を夜に変こうしてもらった。ママは残業をしないで帰ってくる。
だから夜はママが、昼はパパが、つねにあたしのそばにいるようになった。
しばらくぶりにお医者さんで血液けんさをすると、すぐに二度目の輸血をすることになった。
本当は二度目のゆけつは危険が高いのであまりしたくないらしいけど、そうも言ってられないくらい赤血球の数値が悪かったらしい。
あたし、お医者さんは大好きだけど、入院はさみしいからイヤなのよね。
さいわい、血をわけてもらえるわんこさんはすぐに見つかったので、二日くらいで退院できた。
あーやれやれっだね、って、パパとママは安心した。
これでまた状態が良くなるといいわねって、ひとあんしん。 ついでにママお気に入りブランド服の、モデル犬に応募することにした。
カメラはパパ。スタイリストはママ。あたしはモデルとして大かつやくしたわ。
★★★★
輸血して安心した一週間後、あたしのおしっこが、とつぜん赤黒くなった。
パパいわく『入れたことを忘れて半日放置された紅茶』みたいな色のおしっこが、三日間続いた。パパもママもうろたえた。しかし、なぜか四日目になるときれいになった。
よろこんだパパは、あたしのおしっこをテイッシュに染み込ませた写真をとって、「ほらほら。黄色いおしっこに戻ったよ」ってママにラインを送っていた。いやねぇ。
でも喜んだのもつかの間、今度はうんちがゆるゆるでゼリーみたいで、そして、真っ赤な血が混じるようなった。
「一週間もたってから、輸血の拒否反応が出るのはおかしいんだけどな」
お医者さんは頭をかかえた。
気がつくと6月も終わりに近づていた。
あたしの大好きなミニトマトは、だいぶ実が大きくなってきた。 けれど、残念ながらまだ青くて食べられない。はやく赤くなってね。
★★★★
あたしの具合は悪くなる一方だったわ。
とつぜんゲロをはくようになった。おしっこやうんちがじょうずにできなくなった。
歩いてもフラフラして、何もないところでいきなり「ゴトン!」と大きな音とともに転ぶようになった。
それでも、少しでも歩かないと弱ってしまうから、ときどきは庭に出て散歩したの。
でも、庭で歩いている途中、やっぱりドテンと倒れる。
倒れたまま、あたしひとりの力では立ち上がれない。
芝生の上でもがくあたしを見て、ママはひどくどうようした。
★★★★
7月になった。
お外の日差しはさらに強くなった。
庭のアジサイは満開だわ。
ミニトマトは、赤く熟し始めた。
それなのに、あたしはあんなに大好きだったミニトマトを食べることができなくなっていたの。
おやつのボーロも食べられなくなった。
ついには、どんなにぐあいが悪くてもこれだけは食べていたという、ちゅーるも食べられなくなった。
「これなら食べられるかい?」
そう言って、パパはあたしが今まで食べたことがないようなお高いご飯を次々に買ってきた。
はじめて見るごはんは、最初のひとくちだけは食べてみるけど、やっぱりからだが受け付けない。
そしてついに、食べられるものが、なくなった。
★★★★
7月5日。
水しか飲めなくなった。
飲めるのは水だけだ。ミルクもりゅうどう食も受け付けない。
あっという間に、身体に力が入らなくなった。歩くことも立ち上がることも、ねがえりすることもむずかしくなった。
おしっこやうんちの時は、なんとか力をふりしぼって、ヒーンヒーンと鳴いて、ママやパパを呼び出して、お庭に出してもらう。
「おしっことうんちは、きちんと教えてくれるのね。えらいえらい」
ママは笑いながら、泣いた。
お水が飲みたいときやねがえりしたいときは手足をもぞもぞ動かしてアピールした。それでもなかなかあたしの要求が伝わらなくてもどかしい。
あたしのために、ママは真夜中も一時間ごとに起きなくてはならなくて、ねぶそくだった。ごめんねママ。そしてありがとう。
★★★★
7月10日。
じぶんひとりの力では、水も飲めなくなった。
手術のために3月からずっと通っていたお医者さんは、わがやからちょっと遠い。 だから一番近いお医者さんに事情を話して、皮下てんてきというものをしてもらうことにしたの。
具合はわるくなっても、あたしはやっぱりお医者さんが大好きだ。皮下てんてきのさいちゅう、しっぽをプンと一回振った。からだに力が入らなくて一回だけしか振れなかったけどね。 そんなあたしを見て、ママもパパも、お医者さんも、かんごしさんも、笑った。
★★★★
7月12日。
あたしの目は白くにごり、見えなくなった。
『トイレに行きたいわ』のお願いも、できなくなった。
おふとんの上でこきゅうするのがせいいっぱいだ。
今までずっとメソメソしていたママは、泣くのを、とりあえず、やめた。
泣くかわりに
「くるみ。今までありがとうね」
と、くりかえした。
そして、昨日。7月14日になった。
★★★★
7月14日。
14日の夕方になった。
夕方は、ママはお仕事がまだ終わらない。パパはもう少ししたらお仕事に行かなきゃいけない。そんなびみょうな時間帯だ。
あたしをかん病していたパパが、ママに電話した。
「すぐに帰ってきたほうがいい。くるみの足がけいれんし始めた。呼吸も荒い。迎えに行こうか?」
「ううん、いいわ。すぐ帰るから、くるみを見ていてあげて」
そして、ママがタクシーに乗って帰ってきた。
★★★★
あたしの耳元で、パパとママの声がする。
「がんばったね。えらいえらい」
「うちに来てくれて、ありがとうね」
そう言われてあたしはうれしい。
うれしいけど、でもね、ちょっとね、うるさすぎて寝られないわよ。こまったもんだわね。
★★★★
「行ってくるね」とパパが言った。
そうね、パパはお仕事に行く時間だ。
うん。パパ行ってらっしゃい。お仕事気をつけてね。
ママはずっとあたしの頭をなでている。
ずっとずっと
あたしをなでている。
そして、夜中になった。
★★★★
さすがにママは、そろそろねむけの限界だ。
しかたないわよね、あたしのために毎日こまぎれに3時間くらいしか寝てないんだから。
「くるみ。ちょっと寝てくるわね」
そう言ってしんしつに行った。
パパもママもいなくなって、お部屋が静かになった。
そして、
あたしは、静かになったお部屋の中で、いろいろなことを思い出すの。
★★★★
みんなで旅行に、行ったよね。
たくさん、たくさん、行ったよね。
そうね、たとえば。。
佐渡に行ったよね。
粟島にも行ったよね。
このときはじめてあたしのチケットを買って、どうどうと胸をはって船に乗ったね。
県外にもたくさん行ったよね。
山形に行ったよね。
福島には何度も何度も行ったよね。
とくにエンゼルフォレスト那須白河 は、ごはんお代わりができるわんこさんバイキングがあるから、あたしの大のお気に入りで、
さて帰ろうか?って言われても、「あたしは断固、再び、ここに入りたいの」ってだだをこねて、パパとママに笑われたよね。
パパとママが応援するサッカーチームの応援にくっついて、遠いところにも行ったよね。
徳島で、うずしお見たよね。パパはクルマの運転でへろへろだったけど。
神戸にも行ったよね。
わんこさんが普通に入れるお店がたくさんあって、我が家は大感激だったよね。
岐阜に行って、通称、モネの池を見たよね。(パパは、マイチームが逆転負けで不きげんだったけど)
鳥取で鬼太郎さんに会って、
富山でのび太さんにお会いしたわ。
茨城の公園のたくさんのネモフィラ。きれいだったよね。
ママの旅行計画はもりだくさん。
パパとあたしは宿にたどり着くとぐったり。
海に行ったよね。
川で泳いだよね。
いろいろな場所に泊まったね。
長野では、わんこさん専用の温泉に入って、
わんこさんが泊まれるホテルがみつからないときは、車中泊。
こんなに旅行は好きなのに、お散歩はキライ。
お手伝いして(手伝いになってないわね)
いたずらして
歩いて
走って
寝て
おたんじょうびとか
お正月とか
にゅういんしたママへお手紙書いて
ムギュムギュ ってされて(苦しいけど)
クシクシされて(きもちいい)
花火、きれいだったね
お花、きれいだったね
ほめられて
しかられて
暑かったり
寒かったり
栗拾いしたね
りんご狩りしたね
わんこさんOKのレストランが、最高に好き(なにももらえないけど)
楽しいこと、
いっぱい、
いっぱい、
いっぱい、
あったよね。
★★★★
ねえ、パパ。
たくさんたくさん買ってきてくれた、お高いごはん。みんな残ったね。
もったいなかったね。
ごめんなさい。
でもね、ひとこと言っていいかしら。
できればそういうのは、あたしが元気なときに買ってきてほしかったわ。
★★★★
ねえ、ママ。
今年も植えたミニトマト。
カラスに食べられた失敗を繰り返さないため、鳥よけのネットをかけて、ようやく赤くなってきたのにね。
ひとつぶも食べられなかったね。
ごめんなさい。
あたしも残念なのよ。
★★★★
あのね、
あのね、パパ。
覚えてる?
あのね、
あのね、ママ。
覚えてる?
あたしね、
今ね、
思い出してるの。
ママが 「こんにちは。いらっしゃい」 って言って、
あたしが、
「こんにちは。これからよろしくね」 って言った、あの日のこと
★★★★
2008年からのこのブログの読者です
くるみさんのこの優しい可愛いブログのおかげで乗り切れたことがたくさんありました
さいごまで愛に溢れ、こんなに幸せなわんこはんはめったにいないとおもいました
たくさん思い出をありがとう
たくさんの写真でいやされました
ご無沙汰しています。
お久しぶりです。
ありがとうございます。
ここ最近、ブログの更新もできず、皆さんの所にも遊びに行けず、すいません。
大きな病気もせず、あと数年は一緒にいられると思っていたので、突然の大病、治ったと思ったら次のどうにもできない壁にあたり、いまだに信じられない状態です。
もっともっと一緒にいたかったです。
こちらこそ、皆さんから元気と勇気をもらえました。お世話になりました。
本当にありがとうございました。
とてもお久しぶりです。
久しぶりにブログ拝見して、何度も読み直しています。
久しぶりにブログ見たのは、くーたんが亡くなって、寂しくて寂しくて、久しぶりにくーたんのブログ見て、くるみさんの事も懐かしかったから。
同じ思いをしたパパ、ママさんの事が書かれていて涙が止まりません。