きょうはとてもさわやかな日よ。
あたしはくさとりをしているパパのおてつだいをしているわ。
どれどれ・・・くんくん。
あたしは手でとれないから、とりあえず食べてみるわ。
ムシャムシャ
あたしはおてつだいしているのに、ママに「それは芝よ」っておこられるのよ。めんどうなはなしね。
風もきもちがいいし、おてつだいもめんどうだし、
パパ、あとはよろしくね。
あたしはおひるねすることにするわ。
去年とどうように、今年もリンさんといっしょにさんぽしてきたわ。
ふだんはおさんぽがあまり好きでないので、しっぽがだらりと下がってしまって、「しっぽでどうろのおそうじ」 じょうたいになってしまうのだけれど、この日はちがったの。
「あらめずらしい。くぅちゃのしっぽがピンと立っているわ」 と、ママも気がついてくれた。
だって、あたしはママが育ったここが大好きよ。
とおくには、まだちょっと雪が残っている山がうっすらと白い。
今はちょうど田うえのじき。水が たぷたぷん とはられた田んぼに、ちっちゃな苗がそよそよと風にゆれている。 あぜ道をさんぽしていると、となりを列車が ごーっ て走っていく。 うまくいくと、SL というものが黒い煙をモクモクとはきながら走っていくのも見られる。手をふると、 ぴーっ! っておへんじしてくれるのよ。
しかもきれいな水がいたるところでさらさらと流れている。
あたしはここが大好き。
あぜ道をさんぽしながら、リンさんといっしょに春をまんきつしてきたわ、くんくん。 でも、じゅえき っていうせいなのか、みつ のせいなのか、足と顔がべたべたになってしまって、ママに 「やめてー」ってさけばれちゃった。
さんぽのとちゅうの公園で ぼたん という花がたくさんさいていた。 そしてリンさんといっしょに小川の水をごくごくと飲んだわ。
どうかしら? ちょっといい感じに、ゴールデンウィークをまんきつしていると思うでしょ?
きのうのお昼前、ママがにっこり笑ってあたしを手まねきした。
「さあて、くぅちゃん。いいものをあげるから、こっちにおいで」って。
あたし知っている。こういう時はたいがいろくでもないさいなんが、あたしの身にふりかかるの。やれやれ。
「今日は何の日か知っているかしら? 今日はね、こどもの日なのよ。だからくぅちゃん、これ、かぶってね」
そう言って変なものをかぶせようとした。 かぶと というものらしい。 もっともあたしには、こうこくのチラシにしか見えないのだけれど。
あたしはてっていこうせんしたわ。 ひらりひらり、右へ左へと、かろやかにヘッドスウィングして、 かぶと を乗せられるのをだんこきょひしたの。
だんこきょひしていたのだけれど・・・・
われながらこのせいかくはちょっとどうかと思うけれど、まあビスケットのためだもの。がまんするわ。
見ていたパパは、 「あ、そうだ。兜と言えば、今はこれが必要」 と言って、かぶと の上にさらに何かを乗せたの。
ママのいなかから帰ってくるとちゅう、ホームセンターに寄り道して何やら買いこんでいたわ。
おうちに帰るとさっそく作業開始。
ママは 「元がとれますように。元がとれますように」 ってぶつぶつ言っていて、ちょっとこわい。
「くぅちゃんの好きなミニトマトも、ちゃんと植えたからね」とママ。
あらそうなの、うれしいわ。ところで去年のような、きれいなお花はないのかしら? と聞いたら、
「今年はお腹に入らないものは却下」だって。やれやれね。
ぽかぽかして気持ちがいいから、あたしはおひるねするわ。
トマトができたら起こしてね。
イスにすわっているパパのおひざの上に乗りたいとき、あたしは立ち上がってパパの足をかりかりする。「ねえパパ、おひざの上に乗せて」って。
あたしとパパと、どっちが先にこんまけするかの勝負なの。
この前もいっしょうけんめいパパの足をカリカリしたのだけれど、 「今はダメ!」って、むしされた。
あたしは大きくひとつためいきをつくと、 とっとっとっと ってママのところに行って、よっこらしょとおひざの上にのった。
あたしはママが好きよ。でもママのおひざの上はせまくて、いまひとつすわりごこちが良くないのがふまん。
9日は、山形へかぞくりょこうに行ってきた。 りょこうというか、パパとママの好きなチームのおうえんらしいけれどね。
朝早くおうちをしゅっぱつ。 あたしはねむねむだったわよ。
とちゅうの道の駅というところで、よねざわ牛さんときねんさつえいしたわ。 あたしはその大きさにちょっとびびったのだけれど、でも、よく見ると動かないわね。 ふん。ならばたいどがでかくなるわよあたしは。 さあ、もんくがあるなら、あたしにかかってらっしゃい。
よねざわ牛さんは、だまってたたずむだけだった。
ふ、ちょろいわね。
それからしばらく道がぐるぐるして、あたしはくるまよいをしそうだった。 そしたら空気がひんやりして、こんな場所についた。
ちょっと。あたしをどこにつれていこうと言うのよ。 あたしはいやな予感がした。
あんのじょう
うきゃーーーーーーっっ。
あたしはおしりのあたりが きゅっ としたわ。 これは リフト というのりものらしい。すれちがう人があたしを見て、くすくす笑うの。
リフトはこわかったけれど、でも、とおくに見える山はきれいだったわ。 まるでおそらにぽっかり浮かんでいるみたいだったのよ。
リフトをおりると、こんなかんばんがあった。 あっちに、おすぎとピーコがいるの?
まだ雪がざくざくあって、あたしはママをひっぱって、ずかずかと歩いた。 すると、こんなけしきが目の前にひろがった。
すごいわね。
おすぎとピーコはいないみたいだけれど。
あたしはのどがかわいたので、雪をがしがしと食べた。
ふむふむ。 これはまたにいがたのおうちとはちがう、けっこうなお味の雪ね。
パノラマしゃしん。 というものをパパがつくってくれたわ。クリックすると大きくなるって。
山形に行った帰りのサービスエリアという場所で、ママがこんなおみやげを買ってくれたわ。 ドライブ弁当、りゃくして どら弁の、わんこさん用なのだって。
「ひえー。わんこのごはんに630円か。人間様もびっくりだー」とパパはおどろいていた。
でも、開けてみたらたしかにごうせいだったのよ。
メインとなる、スープじたてのとりにく、げんまい100%の食パン、ふりかけ、そしておやつのおせんべいが入っているの。しかもかきまぜるスプーンや、お手ふき、そしてわんこさんが食べているときにうつわが動いてしまわないように、
こんなシールまで入っていた。
「芸が細かいなぁ」って、パパもママも感心していた。 「でもわんこのごはんに、630円は高いけれど」ってやっぱりぶつぶつ言っていたけれどね。 かわいいむすめのためだもの、もんく言わないの、パパ。
じっしょくレポートは、またごじつね。
それではきのうの続き。どら弁ポチ を食べてみるわね。 作るのはママ、食べるのはあたし。
まずメインの、とり肉スープじたてを入れます。
次に、パンを小さくちぎって入れます。
あたしはママのとなりにくっついて、ぜったいにはなれないわ。
さいごにふりかけをぱっぱっぱ と。
あたしはうれしくてうれしくて、ジャンプが最高点にたっしたの。
「ここまで喜ぶのはめずらしいなぁ」とパパ。 そりゃそうよ、あたしはおいしいものがちゃんとわかるくるみさんなのよ。
かんせい。
あたしはいつもきちんと ふせ をしてごはんを待つのだけれど、この日はもうそわそわしっぱなし。 「まて」と言われているのにペロリとひとくちなめてしまって、ママにしかられちゃった。えへ♪
では、いただきまーす。
がつがつがつ。 ぺろぺろぺろ。
からっぽになっても、あたしはぺろぺろし続けた。だって、ものすごくおいしかったんだもの。
そしてさいごにおやつをもらった。
あたしはものすごくまんぞく、だいまんぞくなのだわ。あしたもまた、どら弁ポチを食べたいわ。
そしたらパパに、「ふざけんな。1食630円なんか俺の食費よりも高い」っておこられた。
あたしはサービスエリアというばしょが、とてもみりょくてきなものに思えてきたわ。
あたしはお庭に出たい。早くここを開けてよパパ。
ところが、「おまえ最近、トイレじゃなくて庭でおしっこするから信用できない」って、開けてくれないの。
あたしはかれこれもう30分も、窓をあけてよねってきゅんきゅんなき通し。
あたしはくるみさん。わが家の平和を守るのが仕事のくるみさん。
あたしんちのお庭は、カラスさんやそのほかいろいろな鳥さんが来て、虫をさがしてほじくり返していくので、芝生がぼろぼろ。 「一番ひどいところだけ補修しよう」って、パパがさぎょうしていた。
今朝お庭に出てみると、見なれないものが地面にささっていた。
むむむん。 これはあやしい物体ね、かくにんするわ。ちょっとへっぴりごしになっているのはごあいきょう、ってことで。
ちょっとアンタ、こっちに来なさいよ。
あたしはあやしい物体をれんこうしようとした。 ところがなまいきにていこうするの。
あたしはそいつを ぐいっ、とひっぱって行こうとしたら
「よけいなこと、すんな」 って、パパにしかれらたわ。
なによあたしの仕事のじゃまをしないでよね、パパ。
「くぅちゃん。これ食べられる?」
ママがちいさな葉っぱをさしだした。アイスプラントというものらしい。
アイスプラント?
ママがさいばいしているこれのことね。なんだかね、かくだいするとこんなかんじらしい。
ちょっとぷちぷちしすぎていて、背中がぞわぞわしない? このぷちぷちの中に、しょっぱいお水が入っているんだって。 海水をあたえても成長する、ふしぎなしょくぶつなんですって。・・・って言っても、あたしにはむずかしくてなにがなにやらさっぱりなのだけれど。
ではとりあえず、くんくんしてみるわね。
くんくん。
くんくん。
くんくん
くん ・・・・・
・・・ぶふぉ! って大きく せき をひとつして、あたしはアイスプラントを鼻先で ふんっ って感じであっちに押しやった。
だって、あんまりおいしそうなにおいがしないんだもの。いらないわあたし。
あたしはアイスプラントはいまひとつね。