元日に、ジジとババのおうちに行ってきた。
パパとママは 「今日のお昼はたくさん食べるから、朝ご飯はいらないな」と言って、朝ご飯をぬいていた。
ママはあたしに、「くぅちゃん。ジジからお年玉、もらえるかなぁ」とうれしそう。うん、ママ、それはいいのだけれと、えーと、何か忘れていないかしら?あたしはママにそう言いたかったのだけれど、恥ずかしがりやさんなのでうまく言えなかった。 だからママもパパも、残念ながら 『あのこと』 に、気がついてくれなかった。
お昼前になって、ジジとババのおうちに着いた。 ものすごくいいにおいがして、あたしはもううろうろしっぱなし。でも、「これはくぅちゃんの食べるものではありません」って言われて、がっかりだわ。
あたしは 『あのこと』 のせいで、きゅいんきゅいんきゅいんくぅんくん と、いつまでもいつまでもなきながら、おせちのまわりをうろうろしたの。
そんなあたしを見て、「なんだろう。きょうは妙にしつこいな」 パパが言った。
「、、、、 あっ!」 ママがさけび声を上げた。 ようやく思い出してくれたみたい。
「くぅちゃんに、朝ご飯あげるの忘れていたわ!」
そうよ。 じぶんたちの朝ごはんをぬくのはいいのだけれど、あたしのごはんまで忘れないでほしいわねまったく。
ところがさいなんはまだ続くの。 だって、ジジとババのおうちには、あたしのごはんが用意されていないのだもの。
「こまったなぁ。じゃあ、ちょっとだけだよ」
そう言ってママがおせちの中からあたしの食べられそうなものを取り出してくれた。でもね、ほんとうにちょっとしかくれないのよママったら。それも、おやさいばっかり。 あたしは大いにふまんだわ。ま、食べたけれどね。
あたしはママがわけてくれたものだけではぜんぜん足りなくて、ジジのとなりにそっと行くとうるんだ目で見つめながら 「ねぇジジ。そのおいしそうなもの、あたしにちょうだい♪」って、うったえてみた。
そしたらジジはもうあたしのかわいさにめろめろ、かまぼことかハムとか、いっぱいもらっちゃった。うふふ。 しまいにはママが 「お義父さん、そのあたりでやめてくださいね」って、ジジにお願いしていたわ。言葉はやさしくてもママの目は笑っていなかったけど。
帰りのクルマの中で、ママはパパに言っていた。
「くるみに甘いところとか、あなたとおとうさんと、そっくりだわ」って。
そうね、あたしにとって今年のお正月は、「わざわいてんじてふくとなす」っていう感じだったかしらね。

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