足がかゆいのよぉ。
まだ、動かないでね。
きのうはお店に行って、つめを切ってもらったわ。おわるとごほうびに、リボンをつけてもらえるの。オレンジ色のリボンをつけてもらったわ。
にあうかしら?
でもママは、「く〜さん、この前もらったピンクの方がにあうね」だって。
あたしはお客さんが大好きで、どんな人にもしっぽをぶんぶん振っちゃうの。
ママは
「わんこはさ、初めはともかく、学習していくうちにこどもがキライになるのよねー。ほら、こどもって手加減しないでわんこをベタベタいじるでしょ。だからね、こどもがキライになるみたい」
と言っている。でもあたしはへいきよ。
いままでもママのお家でたくさんこどもと会ったけれど、みんなあたしのことがこわいみたいで、とおくから見ているだけなのよね。だから、こどもなんてへっちゃらよ。
でもね、ついにあたしにも、きょうてきがあらわれたわ。
きのうはジジとババのお家に行ったの。そしたらね、きんじょのおうちの女のこが遊びに来ていたの。そのこのお家には、ものすっごくおおきいわんこさんがいるんだって。だからあたしみたいなちいさいわんこなんかぜんぜんへいきなの。
あったしゅんかん、あたしは むぎゅ。ってされたわ。 むぎゅー ってあたしにだきついてきたの。
うれしいのだけれど、ちょ、ちょっとね、ちょっとくるしいわよ。
それからはもうたいへんよ。リードをひっぱられて家じゅう引きずり回されたわ。 にげようとしても、すぐにつかまって、ソファーの上におしつけられるの。 おんなのこが「ここでねなさい」って、ぎゅうぎゅう押しつけられるの。ざぶとん敷いてくれればいいってもんでもないわよ。ちょっとだれかたすけて。
あたしはお外でくるまをあらっているパパのところににげようとしたら、「だめーっ」って言われて、しっぽを むんずっ ってつかまれて、ひきもどされたわ。見ていたママははらはらしていたみたい。
あたしはがんばってたえたわよ。はんげきしないでたえたわよ。えらいでしょ。
でも、つかれたわ。
ゆうがたになってお家に帰ってきたら、くたくたですぐにねたわよ。まったく。
いぜんは大キライであばれまくっていたブラシがけも、さいきんはがまんできるようになったの。
だって、きれいになるためだもの。
あたしはおひめさまなの。あたしがうちゅうのちゅうしんじゃないとイヤな、おひめさま。
だから、パパとママがあたしいがいをちゅうもくするのはゆるせない。だからあたしはパパが読んでいるしんぶんの上にのっかるの。
きょう、なにかいいことがあったみたいで、パパはわざわざしんぶんを買ってきた。もちろんあたしはじゃまをするの。パパは「くるみ、じゃまだ。あっち行け」ってあたしにいった。ちょっとどういうことよ。
くるみと矢野のゴール、
どっちが大切なのぉ?
しゅじゅつをしていっしゅうかんが過ぎた。今日あたしはおいしゃさんにいってきた。
まちあいしつで、あたしはまわりのみんなといっしょに、静かに良い子でいたわ。まわりのミニチュアダックスさんとか、トイプードルさんとかと、くんくんにおいのかぎあいをしていた。みんなしずかにしていたわ。もちろんあたしもね。ラブラドールやゴールデンのレトさんのような、おおきなわんこさんも入ってきたけれど、あたしもみんなも良い子だったわ。
そしたらね、ドーベルマンさんがまちあいしつに入ってたきたの。
あたしはしばらくママのおひざの上で、ドーベルマンさんを見ていたわ。そしてね、
「おるぁぁ。かかってこいやぁ」 ちからいっぱい「わん!」と、吠えたの。もうね、本気吠えよ。本気とかいてマジと読むのよ。マジ吠えね。
ママはあせったみたいで、「こら!」といってあたしのクチを手でとじた。
しばらくして、もうだいじょうぶだと思ったのか、ママはあたしのクチを離した。
あたしはもういちど、ドーベルマンさんにガンを飛ばして を見つめて
「おらおらこのおくびょうものめかかってこいゆーとんじゃぼけぇ」 ふたたびちからいっぱい、本気で「わん!」と吠えたの。本気とかいてマジと読んでね。
そしたら、まちあいしつのひとたちがみんなで、「あは。あは。あはははは」って笑ったの。
どうかしら? あたしって、おいしゃさんでも人気ものなのよね。
ママのえがおは、ちょっと引きつっていたみたいだけれど。
この前れいぞうこの上のだんいっぱいにあったママのしょくりょうびちくが、そろそろ残り少なくなってきたみたい。そしたら、「いせたん」というところでちょうど、ほっかいどうてんというのがはじまった。ママが大好きなしょくりょうもはんばいされているらしい。
ママはきのうおしごと終わった後、はりきって買いに行ったわ。でも、がっかりして帰ってきた。「ポテチもかりんとうも、売り切れていた」って、がっかりしていた。「夜になんて買いに行ったら、お目当てのものは絶対に買えっこない」って、がっかりしていたママ。 そして、「ねえ、ちょっと。お願いがあるの」だって。
あたし覚えたわ。ママがやさしい声を出すときはきけんだって。でも、今回はあたしではなくて、パパにお話ししていた。
今日のお昼前、パパが紙ふくろを持って帰ってきた。あついのにごくろうさんね。「ポテチはあったけど、かりんとうは入荷してなくて買えなかったんだよ」って、メールでママにあやまっていたわ。どんまい。
ま。とりあえずこれでママのしょくりょうびちくはあんたいね。
あれ?
ママは「わたしの分と会社の人の分。ふたつお願いね」って言ってなかった?
ちょっと多くない?
そしたらパパは「俺もこれは、ちょっと好き」って照れてた。
やぁねぇ。
あしたはパパとママと、りょこうに行くの。パパはおしごとなんだけれどね。そして、あたしは船に乗る1時間くらいかばんの中に入っていないとだめなんだって。
6月にさどに行ったときは、ほんのちょっとだけがまんすればあとは出してもらっていたけれど、こんどはずっと入っていなければだめなんだって。
がまんするわ。だいじょうぶよ。
でもパパが今、あたしのかばんを出して 「だいじょうぶかなぁ」 ってタメイキをついた。
だからだいじょうぶ。がまんするって言ってるじゃないの。
え?
大きさ?
うふふふ。ふ。
きょうのにいがたにっぽうの、とくべつばんの中から、
あたしをさがしてね。
うふふふ。ふ。
パパは、「なんで俺の名前になってるんだ?応募したのはキミじゃないか」って、ちょっと不満げだけれど、どんまい。
さて、りょこうにいってこようっ。と。
あわしまに行ってきたわ。
行きはこうそくせんで50分。もちろんいい子でいたわよあたしは。
あわしまにひとつしかないしんごうき。ついさいきんできたばっかりなんだって。しょうがっこうの前にあるの。
ママははじめてのあわしまに、ワクワクしていた。でも、しばらくしたら大雨だったの。 たいへんだったわ。
「自転車で島の反対側に行くつもりだったのに、困ったなぁ」ってパパがとほうにくれていた。あわしまにはバスもタクシーもない。くるまはあわしまに住んでいる人しかもっていない。
おみせののきさきであまやどりをしていると、くるまで通りかかった人があたしを見て降りてきた。おんなのこがあたしを見て 「かわいい。さわってもいい?」てうれしそう。むかしわんこさんをかっていたんだって。でも今はいなくてさみしいんだって。
パパと、その子のおとうさんがお話をしていた。どうやらクルマを借りることになったみたい。
しんせつな人がいて良かったわね。 でもね、これもあたしが可愛いかったからこそ生まれたであいなのよ。そこんとこわすれないでねパパとママ。
かえりのふねが出る前に、みなとできねんさつえいをしたわ。
あたしはあわしまが気に入ったわ。
今日はスポーツこうえんに行ってきた。
わんこさんたちがいっぱいいっぱいいたわ。今日はわんこさんとねこさんのおまつりなんだって。こうえんのしばふでは、わんこさんたちがハードルをじょうずにぴょんぴょんとびこえて、かけっこをしていたわ。
ママは 「ほら。おともだちだよ」って言って近づけてくれるのだけれど、あたしはにげまわっていた。
あたし、わんこさんたちがワンワンほえているのがこわいの。どっちかというと、人のほうがすきなの。それも、おいしいものをくれる人がね。
なんだかきょうはつかれたわ。きづかれってやつね、きっと。
さっきパパがマンションのかんりにんさんにあったんだって。
かんりにんさんはこのまえ、あたしがのったしんぶんを見たんだって。「かわいいですねぇ。って言われたよ」って、パパから聞いた。
あそう。よかったわねぇ。で、あたしにはなにかごほうびくれないの?
そう、ないのね。じゃあいいわよ。
ふんだ。
あたしのしゅみはおひるね。
今日はパパがおしごと始めたすきを見て、ここでおひるねしたわ。
パパは「パソコン、かたずけられないじゃないか」って、ブツブツ言っていた。
どんまい。
あたしはヨーグルトが好き。
ママが食べ終わるとあたしにくれるの。
うれしいけれど、でもね、少ししか残っていないから、かおをつっこんでペロペロしなきゃいけない。お鼻がまっ白になっちゃうの。
あたしのゆめは、たっぷり入ったヨーグルトを食べることだわ。
あたしはお出かけしたいの。またりょこうにいきたいわ。
あたしおぼえたの。バッグの中に入れば、りょこうに連れて行ってもらえるの。
このまえあわしまから帰ってきたとき、パパがバッグをかたづけるのを見たから、どこにあるのかも知っているわ。パパのおへやのおしいれよ。
だからときどきパパのおへやに行って、きゅいんきゅいんとおねがいするの。
バッグを出してちょうだいって。