大きな地しんが起きた。そのときあたしはクルマの中にいて良く分からなかったけれど、大きな地しんだったみたいだ。
パパはあたしを見て「くるみ。地震を予知できないか?」って言った。
ちょっとぉ。むちゃ言わないでよ。
テレビでは、かしわざきという場所であたしとおなじミニチュアダックスのおともだちが、さいがいきゅうじょけんというのでかつやくしているようすがうつったらしい。
それを見たパパとママは、「そうか、もともとアナグマ猟のために開発されたダックスフントは、ゴールデンレトリバーなんかの大型犬とちがって小さな隙間からでも中に入ることもできるから、ガレキの下に閉じこめられた人を探し出す災害救助犬にはぴったりだ」と、はしゃいでいる。
そしてあたしを見て、パパがとんでもないことを言う。「くるみ、おまえ災害救助犬の訓練受けるか?」って。
ちょっとぉ。むちゃ言わないでよ。
でも、パパとママはその気になっちゃったみたいで、パソコンでくんれんじょのばしょをかくにんし始めた。
ちょっとぉ。むちゃ言わないでよ。
夜。パパといつものように、なわの投げっこをして遊んだ。この前あたしの家に遊びに来たおともだちは、1時間でも投げっこで遊ぶらしいけど、あたしは3分もするとあきてしまう。
そんなあたしをみてパパは、「集中力の続かないヤツだなぁ。災害救助犬は、無理かなぁ」と、タメイキをついている。
だから、むちゃ言わないでよったら。